- 2016-7-18
- 歯のコラム
近年、金属アレルギーで苦しむ人が増えています。
ネックレス、腕時計、指輪、身の回りには様々な金属が存在しますが、実は口の中の銀歯も金属アレルギーの原因になるんです。
アクセサリーとは違い、気軽に取り外すこともできないため患者さん自身では対応できません。
また、すぐにアレルギー症状が出れば分かりやすいのですが、数十年後に発症することも珍しくありません。
そうなると原因の究明に大変苦労します。
今回は金属アレルギーについてしっかり理解してもらいます。
金属アレルギー
口の中の唾液により銀歯の金属は少しづつ溶け出します。
これはイオンレベルですので目に見えては分かりません。
この溶け出した金属イオンが身体にとって異物だと判断されて起こる過剰な反応がアレルギーです。
金属に接している歯茎や頬、舌が赤や白くなったりしていませんか。
更に金属イオンは体内に入り、お口の中だけでなく、そこから離れた場所、全く関係ないと思っていた所でも症状が出ます。
アクセサリーによる金属アレルギーとは異なるメカニズムですので、皮膚科の専門の先生でも原因を見分けるのは難しく、誤診されてしまうこともあります。
“手足に水泡、湿疹、じんましんが出る”という症状に対し、ステロイド等の薬を使っても、お口の中の金属が原因であれば、根本的には治りません。
歯科医院での相談をおすすめします。
患者さんは男性に比べ女性が多く、また、自分がアレルギーであることに気づいていない潜在的な患者さんも多く存在すると考えられています。
あなたは金属アレルギー大丈夫ですか?
⦁ アクセサリーで赤くかぶれる
⦁ 銀歯を入れてから具合が悪い
⦁ 手足に水泡、湿疹、じんましんが出る
⦁ 家族に金属アレルギーがいる
⦁ 治りにくい口内炎や皮膚のトラブルがある
一つでも当てはまれば金属アレルギーの可能性があります。
金属アレルギーとは
金属アレルギーは大きく2つに分けられます。
1つ目は皮膚に直接触れた部分で起こるアレルギー。
ネックレスやピアス、腕時計等で赤くただれたりするのがこれです。
2つ目は今回のメインテーマである銀歯が原因で起こる金属アレルギーです。
この二つはアレルギーの発生する理由が違うのです。
治療法
銀歯が原因であれば銀歯を除去し、アレルギーの原因とならない材料で治します。
被せ物や詰め物だけでなく、外からは見えない被せ物の土台が金属の場合もありますのでレントゲンを使って診ていきます。
しかし症状がすぐにおさまるとは限りません。徐々に改善する事が多いようです。原因除去後もしっかり経過をみていきましょう。
銀歯の治療を避ける
むし歯を削った後、また被せ物をする時に金属を選ばないことです。
特に保険治療で使われている銀歯の材料(金銀パラジウム合金)は微量ながら亜鉛やスズなど比較的金属アレルギーを起こしやすい金属が含まれているので避けたほうがいいでしょう。
金(ゴールド)も金属ですが、唾液で溶け出して金属イオンにならないため、アレルギーには非常になりにくいです。しかし金のアレルギーが全くないわけではありませんので、ご相談ください。
最近はレジンやセラミック、ジルコニアといった白くて硬い材料もよく使用されます。
・レジン :白い詰め物。小さなむし歯は保険診療でできます。
・レジンコア:保険でプラスチックの土台を作ることが可能です。
・セラミック:保険外ですが白く硬い材料です。詰め物や被せ物などに使用されます。
また、入れ歯の場合でも歯にひっかけるバネに金属を使用しないノンクラスプデンチャーで対応できる場合があります。
どの治療もお口の中の色調に合っているので、目立たないという利点があります。
セラミックについてはこちら ↓ ↓ ↓
最新の被せ物事情。オールセラミック冠。間違った選択をしないために。
ジルコニアについてはこちら ↓ ↓ ↓
金属アレルギーではないことも…
・歯周病や歯の根の病気などで歯茎が赤く腫れている場合
・入れ歯や詰め物、被せ物にこすれて口内炎が出来ている場合
・食品や歯科に使用されるその他の材料のアレルギーの場合
金属アレルギーとの区別が難しいこともあります。歯科医師の診断が必要です。
まとめ
口の中の金属が原因のアレルギーは一旦なってしまうとかなりやっかいです。
お口の中以外にも症状が出ることもあり、治るのにも時間がかかります。
すでに症状が疑われる場合はもちろん、そうでない方もむし歯治療等の前によく歯科医師と相談しましょう。
(この記事の監修: 中目黒リバーサイドデンタルクリニック 院長 / 野田潤一郎 先生)