- 2016-8-22
- 歯のコラム
歯医者に行くといろいろな材料があって混乱しますよね。
保険と自費(保険外)の違いだったり自費の被せ物でも何種類かあったり・・・。
「セラミック」…この言葉を耳にしたことはありませんか?
近年、新しい材料の開発によって著しく進歩したのが、「オールセラミック」による治療です。
今回はオールセラミックによる治療がどんなものなのか、どのようなメリット、デメリットがあるのかについてご説明します。
皆さんの気になっていることを分かりやすくまとめました。
歯医者に行く前に予習しておくことをおすすめします。
金属を使わない治療法「オールセラミック」
これまでほとんどのむし歯治療では、金属やプラスチックを使った治療が行われてきました。
金属は口の中で溶け出して歯ぐきの黒ずみを引き起こしたり、金属アレルギーの原因となることもあります。
一方で、オールセラミックとは、名前の通り金属やプラスチックを使わずにセラミックだけで被せ物を作る治療法のことです。
セラミックとは陶磁器のことで、口の中で化学反応を起こさない、とても安定した材料です。
金属が抱える歯ぐきの黒ずみや金属アレルギーの問題がないため、長期間使用しても美しい状態を損なわず、安全に過ごすことができます。
金属アレルギーについてはこちらをクリック↓
大きなむし歯のときはオールセラミックのかぶせ物
むし歯が大きいときは、かぶせ物による治療をしなければなりません。
保険治療の範囲では、臼歯なら金属のかぶせ物、前歯なら金属とプラスチックを使ったかぶせ物を使うことになります。
「口をあけて笑うと奥歯の銀歯が目立ってしまうのでは…?」
「前歯のかぶせ物の金属で歯ぐきが黒ずんでしまうかも…?」
そんな心配には、セラミックだけで作られたかぶせ物「オールセラミック冠(クラウン)」で対応します。
オールセラミック冠は金属を使わないため、本物の歯のように透明度があり、隣の歯と調和した、とてもきれいな見た目に仕上がります。
化学反応による劣化や、傷による摩耗もほとんどないので、長く使っても変色しません。
歯と接着して一体化する専用のセメントを使用するため、強度も高いです。
神経をとった歯ではファイバーの土台を作る
むし歯が非常に大きかった場合、神経をとる治療をすることがあります。
そういうときは、健康な歯質が少ししか残らないこともよくあります。
そんな場合でも、オールセラミッククラウンで治療することができます。
神経の治療のあとは、オールセラミックと相性の良い、ファイバーを使用した白い土台で歯を補強してから、かぶせ物を作ります。
この土台は透明感のあるオールセラミックと相性が良く、また、接着して一体化するので、かぶせ物の強度を高めることができます。
むし歯が小さいときは歯質を温存
むし歯がさほど大きくない場合は、できる限りご自分の歯質を残せるように努めています。
そういうときにもセラミックを用いた治療を行うことができます。
小さな詰め物である「セラミックインレー」です。
セラミックですので白いのはもちろんですが、透明度があるため、ご自分の歯の色ととてもよく調和し、きれいな見た目に仕上がります。
化学反応による劣化や、傷による摩耗もほとんどないので、長く使っても変色せず、強度も高いです。
ご自分の歯質を残すことは、歯の寿命を延ばすことにつながります。
ブリッジになる時は
オールセラミックスでは強度に不安が残ります。
そこでブリッジとなる場合はジルコニアという白い金属を使います。
強度と審美性を兼ね備えた材料です。
ジルコニアについてはちらをクリック↓
セラミックのデメリット
⦁ 欠けることがある
セラミックは非常に硬く良い材料なのですが、陶器と同じですので「もろい」性質も同時に持っています。
頻繁に欠けるわけではありませんが寝ている時に歯ぎしりをしている方はナイトガードでセラミックと歯を優しく守ってあげる必要があります。
⦁ 保険診療外
ということは高いということです。
そもそも保険診療は「きちんと食事ができれば良い」程度の治療までしか認められておらず、見た目、審美性にまでは範囲外になっています。
保険診療でももちろん白い被せ物はできますがプラスチックであるため色が合わない、ものの数年で黄色くなる、などの受け入れがたいデメリットがあります。
費用
小さな虫歯の場合は詰め物で対応します。
その場合は50,000円~80,000円程度かかります。
被せものになると100,000円~140,000円くらいです。
まとめ
セラミックは近年その強度が飛躍的に向上している注目の素材です。
白い歯にあこがれるけど今一歩踏ん切りがつかなかった方は一度歯科医院でセラミックについて聞いてみるのも良いかもしれません。
(この記事の監修: 中目黒リバーサイドデンタルクリニック 院長 / 野田潤一郎 先生)